輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
真実でなかったのだよ。それで、ふと黄から紅に――という一言を、アレキサンドライトと紅玉の関係に、寓喩として使ってみた。ところが、意外にも、それが全然異なった形となって、伸子の心像の中に現われてしまったのだ。と云うのは、ラインハルトの『抒情詩の快不快の表出』という著述の中に、ハルピンの詩『愛蘭土星学』のことが記されてある。その中の一句――聖パトリック云いけらく獅子座彼処にあり、二つの大熊、牡牛、そうして巨蟹が――とその巨蟹(Cancer)という個所に来ると、朗読者は突然、それを運河(Canalar)と発音してしまったと云うのだ。つまり、その朗読者が、それまで星座の形を頭の中に描いていたからで、いわゆるフロイドの云う――言い損いの表明にこびりついている感覚的痕跡――に相違ないのだ。また、一面には聯想というものが、その一字一字には現われず、全体の形体的印象――つまり、空間的な感覚となって現われたとも云えるだろう。しかし、伸子の場合になると、それが、ダンネベルグ事件から礼拝堂の惨劇に至る――都合四つの事件を表出化してしまったのだ。何故なら伸子は、洋橙と云った後で、麦藁を束にして檸檬水を嚥む――という言葉を吐いた。