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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁

青空文庫

第二篇 ファウストの呪文

一、Undinus sich winden(水精よ蜿くれ)

と云うと、鎮子は沈痛な顔をして頷いた。

「さようでございます。一人の水夫もなく蓮湖の中に浮んでいて、死者がそれに乗ると、その命ずる意志のままに、種々な舟の機具が独りでに動いて行くというのです。そうして、四角の光背と目前の死者との関係を、どういう意味でお考えになりますか? つまり、博士は永遠にこの館の中で生きているのです。そして、その意志によって独りでに動いて行く死者の船というのが、あのテレーズの人形なのでございます」

第二篇 ファウストの呪文

一、Undinus sich winden(水精よ蜿くれ)

久我鎮子が提示した六齣の黙示図は、凄惨冷酷な内容を蔵しながらも、外観はきわめて古拙な線で、しごく飄逸な形に描かれていた。が、確かにこの事件において、それがあらゆる要素の根柢をなすものに相違なかった。おそらくこの時機に剔抉を誤ったなら、この厚い壁は、数千度の訊問検討の後にも現われるであろう。そして、その場で進行を阻んでしまうことは明らかだった。それなので、鎮子が驚くべき解釈をくわえているうちにも、法水は顎を胸につけ、眠ったような形で黙考を凝らしていたが、おそらく内心の苦吟は、彼の経験を超絶したものだったろうとおもわれた。