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それから
それから
線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁
その代り自分と同じ路を容赦なく往来する外濠線の車を、常よりは騒々しく悪んだ。牛込見附まで来た時、遠くの小石川の森に数点の灯影を認めた。代助は夕飯を食う考もなく、三千代のいる方角へ向いて歩いて行った。
約二十分の後、彼は安藤坂を上って、伝通院の焼跡の前へ出た。大きな木が、左右から被さっている間を左りへ抜けて、平岡の家の傍まで来ると、板塀から例の如く灯が射していた。代助は塀の本に身を寄せて、凝と様子を窺った。しばらくは、何の音もなく、家のうちは全く静であった。代助は門を潜って、格子の外から、頼むと声を掛けてみようかと思った。すると、縁側に近く、ぴしゃりと脛を叩く音がした。それから、人が立って、奥へ這入って行く気色であった。やがて話声が聞えた。何の事か善く聴き取れなかったが、声は慥に、平岡と三千代であった。話声はしばらくで歇んでしまった。すると又足音が縁側まで近付いて、どさりと尻を卸す音が手に取る様に聞えた。代助はそれなり塀の傍を退いた。そうして元来た道とは反対の方角に歩き出した。
しばらくは、何処をどう歩いているか夢中であった。その間代助の頭には今見た光景ばかりが煎り付く様に踴っていた。