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しゅんきんしょう

ちくま日本文学014 谷崎潤一郎

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁

青空文庫

ことを封じてしまったのである。これは親達の考では娘が師匠の真似をするのが最も悪い何よりも娘の品性に良からぬ影響を与えると見たからであったろうが同時に佐助の運命もこの時に決した訳であるこの時以来佐助は完全に丁稚の任務を解かれ名実共に春琴の手曳きとしてまた相弟子として検校の家へ通うようになった。本人がそれを望んだのは云うまでもないとして安左衛門も大いに国元の親達を説き付け諒解を得るように努めた商人になる目的を放棄させる代りには行末のことを保証し必ず捨てて置かぬからとそこは言葉を尽したものと察せられる。按ずるに安左衛門夫婦は春琴のために慮って佐助を婿に貰ったらと云う意志が動いていたのであろう不具の娘であってみれば対等の結婚はむずかしい佐助ならば願ってもない良縁であると思うのも無理からぬ所である。しこうしてその翌々年すなわち春琴十六歳佐助二十歳の時始めて親達は結婚のことを諷したのであったが意外にも彼女はにべもなく峻拒した自分は一生夫を持つ気はない殊に佐助などとは思いも寄らぬと甚しい不機嫌であったしかるに何ぞ図らん