輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しゅんきんしょう

ちくま日本文学014 谷崎潤一郎

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁

青空文庫

その二 妹背山

またその方がかえって勝手のよいこともあるのだが、「せっかくの機会だから来て見てはどうか」と津村からそう云って来たのは、たしかその年の十月の末か、十一月の初旬であった。津村は例の国栖の親戚を訪う用がある、それで、三の公までは行けまいけれども、まあ国栖の近所をひと通り歩いて、大体の地勢や風俗を見ておいたら、きっと参考になることがあろう。何も南朝の歴史に限ったことはない、土地が土地だから、それからそれと変った材料が得られるし、二つや三つの小説の種は大丈夫見つかる。とにかく無駄にはならないから、そこは大いに職業意識を働かせたらどうだ。ちょうど今は季候もよし、旅行には持って来いだ。花の吉野と云うけれども、秋もなかなか悪くはないぜ。―――と云うのであった。

で、大そう前置きが長くなったが、こんな事情で急に私は出かける気になった。もっとも津村の云うような「職業意識」も手伝っていたが、正直のところ、まあ漫然たる行楽の方が主であったのである。

その二 妹背山

津村は何日に大阪を立って、奈良は若草山の麓の武蔵野と云うのに宿を取っている、―――と、そう云う約束だったから、こちらは東京を夜汽車で立ち、途中京都に一泊して二日目の朝奈良に着いた。