輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁
吉野葛
その一 自天王
その一 自天王
私が大和の吉野の奥に遊んだのは、既に二十年ほどまえ、明治の末か大正の初め頃のことであるが、今とは違って交通の不便なあの時代に、あんな山奥、―――近頃の言葉で云えば「大和アルプス」の地方なぞへ、何しに出かけて行く気になったか。―――この話はまずその因縁から説く必要がある。
読者のうちには多分ご承知の方もあろうが、昔からあの地方、十津川、北山、川上の荘あたりでは、今も土民によって「南朝様」あるいは「自天王様」と呼ばれている南帝の後裔に関する伝説がある。この自天王、―――後亀山帝の玄孫に当らせられる北山宮と云うお方が実際におわしましたことは専門の歴史家も認めるところで、決して単なる伝説ではない。ごくあらましを掻い摘まんで云うと、普通小中学校の歴史の教科書では、南朝の元中九年、北朝の明徳三年、将軍義満の代に両統合体の和議が成立し、いわゆる吉野朝なるものはこの時を限りとして、後醍醐天皇の延元元年以来五十余年で廃絶したとなっているけれども、そののち嘉吉三年九月二十三日の夜半、楠二郎正秀と云う者が大覚寺統の親王万寿寺宮を奉じて、急に土御門内裏を襲い、三種の神器を偸み出して叡山に立て籠った事実がある。