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しゅんきんしょう

ちくま日本文学014 谷崎潤一郎

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁

青空文庫

ことがなかったなぜなら用をお足しになるのにご自分の手は一遍もお使いにならない何から何まで佐助どんがして上げた入浴の時もそうであった高貴の婦人は平気で体じゅうを人に洗わせて羞恥ということを知らぬというがお師匠様も佐助どんに対しては高貴の婦人と選ぶ所はなかったそれは盲目のせいもあろうが幼い時からそういう習慣に馴れていたので今更何の感情も起らなかったのかも知れない。彼女はまた非常にお洒落であった失明以来鏡を覗いたことはなくとも己れの容色については並々ならぬ自信があり衣類や髪飾りの配合等に苦労することは眼明きと同じであった思うに記憶力の強い彼女は九歳の時の己れの顔立ちを長く覚えていたであろうしその上世間の評判や人々のお世辞が始終耳に這入るので自分の器量のすぐれていることはよく承知していたのであるされば化粧に浮身を窶すことは大抵でなかった。常に鶯を飼っていて糞を糠に交ぜて使いまた糸瓜の水を珍重し顔や手足がつるつる滑るようでなければ気持を悪がり地肌の荒れるのを最も忌んだ総べて絃楽器を弾く者は絃を押える必要上左手の指の爪の生え加減を気にする