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ななじゅうぶんかのとし
七重文化の都市
野上 豊一郎
線上閱讀野上 豊一郎《七重文化の都市(ななじゅうぶんかのとし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,586 字 · 27 頁
メムフィス創始の年代は半ば伝説的で正確なことはわからないけれども、メネスのエジプト統一が(ブレステッドに従って)紀元前三四〇〇年頃だったとすれば、メムフィスは今から五千三百年以前に開けた都だということになる。其処で繁栄は千年以上つづき、中期王朝時代に上流のテバイの新都が始まるまで首都だった。
テバイが首都になると共に、三角州の政治的勢力は衰微し、長い間メムフィスにあった活動力は次第に河を越して対岸に移り、北へ北へと動いて、一つの新しい活発な商業都市を作り出した。バビロンと呼ばれたのがそれであった。バビロンも長くつづき、降ってローマ帝国時代が繁栄の絶頂で、トラヤヌス帝は其処に城砦を築き防備を固めた。その頃は古代エジプトの王統はすでに絶え、ギリシア統治時代も過ぎ去り、ローマの支配の下に、初期キリスト教は迫害に抗しながら根強い力で弘まりつつあった。カイロを初め、エジプトの各地に、今日もコプトのキリスト教が相当に信者を持っているのはその頃からの子孫だといわれる。それ以前にマリアが赤ん坊のキリストを抱いてユダヤ王の迫害からしばらく隠れていたのも今のカイロ付近だった。