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まんようしゅうか
万葉秀歌
斎藤 茂吉
線上閱讀斎藤 茂吉《万葉秀歌(まんようしゅうか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,820 字 · 427 頁
鎌足歿後の御製ならば或はそうであろう。併し事実はそうでも、感情を主として味うと広義の恋愛情調になる。
○
秋山の樹の下がくり逝く水の吾こそ益さめ御思よりは 〔巻二・九二〕 鏡王女
右の御製に鏡王女の和え奉った歌である。
一首は、秋山の木の下を隠れて流れゆく水のように、あらわには見えませぬが、わたくしの君をお慕い申あげるところの方がもっと多いのでございます。わたくしをおもってくださる君の御心よりも、というのである。
「益さめ」の「益す」は水の増す如く、思う心の増すという意がある。第三句までは序詞で、この程度の序詞は万葉には珍らしくないが、やはり誤魔化さない写生がある。それから、「われこそ益さめ御思よりは」の句は、情緒こまやかで、且つおのずから女性の口吻が出ているところに注意せねばならない。特に、結句を、「御思よりは」と止めたのに無限の味いがあり、甘美に迫って来る。これもこの歌だけについて見れば恋愛情調であるが、何処か遜ってつつましく云っているところに、和え歌として此歌の価値があるのであろう。試みに同じ作者が藤原鎌足の妻になる時鎌足に贈った歌、「玉くしげ覆ふを安み明けて行かば君が名はあれど吾が名し惜しも」