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せけんし
世間師
小栗 風葉
線上閱讀小栗 風葉《世間師(せけんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,390 字 · 36 頁
一
一
それは私がまだ二十前の時であった。若気の無分別から気まぐれに家を飛びだして、旅から旅へと当もなく放浪したことがある。秋ももう深けて、木葉もメッキリ黄ばんだ十月の末、二日路の山越えをして、そこの国外れの海に臨んだ古い港町に入った時には、私は少しばかりの旅費もすっかり払きつくしてしまった。町へ着くには着いても、今夜からもう宿を取るべき宿銭もない。いや、午飯を食うことすらできないのだ。昨夜は夜通し歩いて、今朝町の入口で蒸芋を一銭がとこ求めて、それでとにかく朝は凌いだ。握飯でもいい、午は米粒にありつきたいのだが、蝦蟇口にはもう二銭銅貨一枚しか残っていない。
私はそこの海岸通りへ出た。海から細く入江になっていて、伝馬や艀がひしひしと舳を並べた。小揚人足が賑かな節を合せて、船から米俵のような物を河岸倉へ運びこんでいる。晴れきって明るくはあるが、どこか影の薄いような秋の日に甲羅を干しながら、ぼんやり河岸縁に蹲んでいる労働者もある。私と同じようにおおかた午の糧に屈托しているのだろう。船虫が石垣の間を出たり入ったりしている。
河岸倉の庇の下に屋台店が出ている。