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ちゅうせいのぶんがくでんとう

中世の文学伝統

風巻 景次郎

線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁

青空文庫

九条家の敵は久我源氏の土御門通親で、兼実の女宜秋門院には皇子の御誕生がないのに、通親の養女承明門院には土御門天皇がお生れになり、通親の土御門邸が里内裏になるという形である。建久九年に土御門天皇が受禅されると、通親は外舅として勢力を得、内大臣に昇り、後鳥羽上皇の院別当となって仙洞御所の実権を握り、卿二品という女傑と結んで政を左右する。それに対して九条家は手も足も出なかった。九条家が勢力を得たのは建仁二年十月二十一日に内大臣通親が突然薨去してからのことで、これは『新古今集』竟宴の行われた元久二年から足かけ四年前のことで、定家はすでに四十一であった。定家がその青年期壮年期に殆ど出世ということをしないで初老を迎えたのだから、その間に焦燥し憂悶したのは尤もで、『大日本史歌人列伝』に、性狂燥で進取に急だと書いてあるのは事実であるにしても同情のない言であった。

通親の久我家の家司になっているのが六条家の季経で、清輔卒後九条家との関係はなくなっているので、久我家にたよっていた。季経や有家や顕昭やと俊成・定家・寂蓮などはあくまで対抗したが、通親の子久我通具や通光も歌人だし、歌の巧拙ということは第二として、社会的にはなかなか大敵だったのである。