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ふたつのじょぶん

二つの

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《二つの(ふたつのじょぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 頁

青空文庫

「時」と「空間」との問題は、哲学にとっては千古の課題であるが、物理学にとっても極めて重要な問題である。相対性原理以前の物理学においては、時は空間における等速運動を仮定することによって、初めて客観的に取り扱われ得るに至り、空間の尺度で測ることによって、科学の領域にとり入れられて来た。しかしこの方法によっては、即ち時を線で現わすことによっては、主観的時間の特徴たる不可逆性は全く疎外され、すべての変化は可逆的となる。力学における時は、進行と逆行とが等価的である。この点は主観的の時の説明には重大な欠陥となる。しかし物理的現象でも、時なる線は一方向きにのみ進行するのが、宇宙現象の実際であって、熱力学の第二法則が、その点を明確に規定している。あらゆる変化の進行に際して、エントロピーは常に増し、決して減ずることがないというのが第二法則である。熱の現象の中で最も普遍的な摩擦の現象を無視した力学においてのみ、時は可逆的な形で導入されるのである。熱力学の第二法則から再び立ち戻って「主観的時間の経過を考える時に、それが一つの物理器械として考えた人間という器械的体系のエントロピーの増加と密接な関係があることを認めることが出来る」