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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
二荒の宮には春の桜、塩原の温泉には秋のもみじ、四季とりどりの眺めにも事欠かず、よろずに御不自由はござりませぬ。
玉虫 御芳志は千万かたじけない。ついては玉琴。まずそなたに問いたいことがある。もしわらわが飽くまでも不承知と云うたら、そなたはどうしやるぞ。
玉琴 さあ。
玉虫 わらわを捨てても、与五郎どのと一緒にゆくであろうな。
(玉琴黙して答えず。玉虫はうなずく。)
玉虫 返事のないは、大方そうであろうの。よい、よい。それほどまでに思い合うた二人が仲を今更ひき裂くこともなるまい。わらわが許して女夫にしましょうぞ。
玉琴 え。では、勘当をお赦しあって……。
玉虫 姉が媒酌して杯をさせましょう。
玉琴 ありがとうござりまする。
玉虫 まあ、しばらく待ちゃ。
(玉虫は起って、再び奥に入る。与五郎と玉琴は顔を見あわせる。)
玉琴 ここへ引返して来るみちみちも、どうあろうかと案じていたに、姉さまの御機嫌も思いのほかに早う直って、こんな嬉しいことはござりませぬ。
与五郎 しいてとやこう申されたら、それがしも刀の手前、われから姉妹の縁切って、そなたを連れ帰ろうと存じたるに、玉虫殿のこころも早う解けて、われも満足。