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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

門端の芒の葉が友摺れしてざわざわと鳴るのは、風の音ばかりでもないように思われたが、彼は別に見返ろうともしないで、余念もなしに鍋の粟を洗っていると、門には又もや案内を求める声がきこえた。

「御庵主に物申したい。」

呼ばれて初めて振り向くと、秋の日はいつの間にか吹き消すように暮れてしまって、門口には若い男の白い顔だけが浮いて見えた。

「なんの御用じゃ。」と、兼好は手を休めて訊いた。

「今方ここらへ年のころは十七八、都風俗のあでやかな上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)が見えなんだか。御坊には御存知ないか。」

「おお、見えたよ。」と、兼好は無雑作に答えた。

「ここへか、この庵へか、なんの用でまいられた。」と、男は不審そうに又訊いた。

「別に用もない。通りがかりに立ち寄られたのじゃ。して、お身はその女子のゆくえを尋ねてござったのか。」

「それがしは都の某武家の侍じゃ。主人の姫が誰にも知らさずに、二ほど前から屋敷を忍び出て、今に戻られぬ、忍びの物詣でかとも存ずれど、なんとやら不安に思われる節もあるので、それがしお跡をたずねて参ったところ、そのような風俗の上※(「藹」