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いど
作家の自伝102 伊藤左千夫
伊藤 左千夫
線上閱讀伊藤 左千夫《作家の自伝102 伊藤左千夫(いど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,100 字 · 19 頁
世人多くは、家庭問題は、今日に始まったものの如く思って居るらしいが、決してそうではない。吾々が幼時教育を受けた儒教などは、第一に家庭を説いたものである。彼灑掃応対進退の節と説き、寡妻に法り、兄弟に及ぶと云い、国を治むるのもとは、家を治むるにありと云い、家整うて国則整うと云い、其の家庭の問題を如何に重大視したか、詩経などの詩を見ても、家庭を謳うたものが多いのである。則ち家庭問題は、実に人世至高の問題として居ったことが判る。只古のは、根本的精神的であって、今のは物質的の末節を云うが多いのである。人格問題、修養問題を抜きにした、手芸的話説が多いのである。根を説かずしてまず末を説く、予が家庭を害すること多いと云うは、此の顛倒の弊害を指したのに過ぎぬのである。
能く家を整えて、一家をして、より多くの和楽幸福を得しむると云うことは、人間の事業中に在って、最も至聖なるものである。大きく云えば国家の基礎、社会の根柢を為すのである。至大至高の問題と云わねばならぬ。何等の修養なき、何等の経験なき青年文士や、偏学究などに依って説かるる家庭問題、予は有害無益なるを云うに憚らぬ。