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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
と共に当時のシヴァ崇拝もギリシア風宗教の影響を受けたものとなっていたであろう。その証拠に月氏についで北インドを統治したグプタ朝のバラモン的インド教は、古昔のバラモン教と全然面目を異にして、むしろディオニュソス礼拝やアフロディテ礼拝に近い。西方の密儀を思わせる点もある。もっともこれらは、かつてインドから西方に輸出したものが、西方でやや変形せられて、再びもとへ帰って来たのだとも見られる。いずれにしてもギリシア人月氏族などの混融している北インドで、五百年ぶりに主権を取り返したインド人が、いかにバラモン文化の復興を企てたところでもう純粋にバラモン的であり得るわけはない。グプタ朝の芸術がインド芸術の絶頂であるのは、永い間の文化混融がそこに結晶したからである。この雰囲気を眼中に置いて考えれば、悲劇とディオニュソス崇拝とを直ちにインド劇とシヴァ崇拝とに結びつけて考えても、さほど唐突ではない。インド劇の舞台構造にはギリシア劇の痕跡が残っている。そうしてこのインド劇のあるものはシヴァ神への祈祷をもって始まるのである。もとよりディオニュソスとシヴァは、共に生の力の表現者として破壊と生殖とに関係あるものではあるが、時と所を異にするだけの相違は持っている。