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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
本尊の開眼会は持統女帝の晩年、薬師寺伽藍の完成は文武帝の初年である。しかしこの本尊の鋳造の仕事は、『薬師寺縁起』にある通り、天武帝崩御前に畢っていたらしい。東塔露盤の銘文に鋪金未レ遂、竜駕騰仙、とあるのがその証拠である。さすればこの像の主要な製作年代は、天武帝の晩年と限ることができる。そうなるとこの偉大な五六年間の飛鳥の京は非常に注目すべきものとなるであろう。
天武帝は壬申の乱を通じて即位せられたために、古来史家の間にさまざまの論議をひき起こしてはいるが、われわれにとっては他の意味で興味の深い代表的人物である。第一に、帝は万葉の歌人として名高い。額田王に送って千載の後に物議の種を残した有名な恋歌「紫の匂へる妹を憎くあらば人妻ゆゑに吾恋めやも、」の一首は、帝の情熱的な性質を語って余蘊がない。その情熱はまた仏教を信ずる上にも現われた。殺生戒を守って肉食を禁じたのは帝である。この以後日本には獣肉を食う伝統が栄えなかった。従って日本人はその体質の上にも文化の上にも、天武帝の影響を著しく受けている。また帝は晩年に諸国に令して家ごとに仏壇を設け仏像と経典とを備えしめた。