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こじじゅんれい

古寺巡礼

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁

青空文庫

従って有力な為政者には必ず新知識を持った学者が付きそうていた。藤原不比等が唐に留学した田辺史の教育を受けたごとき、その一例である。律令の改定はすでにこのころから準備せられていた。国家組織のこの新光景は人心に若々しい緊張をもたらさずにはいなかった。憲法発布が鹿鳴館の文化と結びついているごとく、この時代にも結髪や衣服の唐風化が急速に行われた。それは外形のことに過ぎない。しかし外形の変革はやがて内部の変革を呼び出さずにはいなかったのである。

さらに新人の尤なるものは、道昭、智通、定慧などの僧侶である。道昭は古い帰化人の裔であり、定慧は鎌足の子であるが、共に唐に入って玄弉三蔵に学び、当時の世界文化の絶頂をきわめて来た。彼らのもたらしたものが単に法相宗の教義のみでなかったことはいうまでもない。

これが天武帝晩年の情勢である。それは文化的に言って巨大な発酵の時代といってよい。しかしその情勢を同時代人の眼で見、それを体験的に記録したものは残っていない。残っているのは『日本書紀』の記事のほかには『万葉』の歌と無言の造形美術のみである。しかもその中には講堂の薬師三尊のように、まるで素性のわからないものさえある。