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こじじゅんれい

古寺巡礼

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁

青空文庫

――アレキサンドロス大王のすぐ後には、アテーナイに国立浴場ができている。男女混浴の風もはやった。――というようなわけで、やはり東洋がもとなのである。アレキサンドロス大王がダリオス王の風呂場を見て驚いているのなども、この方面から考えるとおもしろい。

しかしこの温浴を楽しむ伝統は、中世以後のヨーロッパにはあまり栄えていない。もちろん体を洗うのは人間として必要なことであるから、家には浴室があり、浴室の持てないものには公衆浴場があったに相違ないが、それは「必要なもの」として以上に「楽しむもの」にはならなかったらしい。デュウラアの描いた公衆浴場の画を見ると、女どもがいかにもせわしそうな、早く用をすませてしまいたいという風をしている。スザンナ入浴の画はずいぶんいろいろな人が描いているが、どれにもわれわれの知っている入浴の心持ちは現わされていない。で、たとい享楽を目的とするトルコ風呂の類があるとしても、それは特別の場合で、西洋人の日常生活にあみこまれているわけでない。西洋風呂があの構造である以上は、西洋人風呂の味を解せずと言っていいわけである。

東洋の風呂の伝統が、シナやインドでどうなっているかは知らないが、とにかく日本では栄えている。