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なつむしあんどん

夏虫行燈

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《夏虫行燈(なつむしあんどん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,200 字 · 37 頁

青空文庫

四

『高安氏、交代だ。――休むがいい』

乾門は、四人ずつ交代で、四刻半から明け方までの入れ替りだった。

平四郎は、黙々と頷いて、内曲輪の休息所の方へ歩いて行った。

――すると、後から馳けて来て、

『高安』

と、呼び止める者があった。

振向いて見ると、奥役の頼母木与四郎兵衛であった。

与四郎兵衛は、胸と胸のつくほど近く寄って来て、

『平四郎。聞けばおぬしは、萩井家の道場でも、据物斬りでは、第一の腕だそうだな。……嫌な役目だがひとつ引受けてくれんか』

『何ですか』

『介錯人だ』

『……?』

『――嫌だろう。誰も嫌がって承知せんのだ。何といっても、日頃から一つお城に勤めていた同僚の首を斬るのだからな』

『甚三郎殿の介錯ですな』

『ウム』

『拙者で御不足がなければ勤めましょう』

『やってくれるか』

と、与四郎兵衛は安堵した容子で、

『じゃあ、奥の丸へすぐ来てくれい』

と、先に立った。

四

そこは、武器櫓の下で、昼間でも暗い、板敷の部屋だった。

ほかの部屋から持って来たらしい絹行燈が一つ、ぼうと燈っていた。

『甚三郎殿』

頼母木与四郎兵衛が、頑丈な板戸を開けて、中へ云うと、

『はい』

と、割合に落着いた返事が聞えた。