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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

線上閱讀亀井 勝一郎《大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,647 字 · 215 頁

青空文庫

人間の「実」を求めて、遂にそれを超えた仏の「実」に達したところを見るならば私も一応納得するけれど、古人が「仏」の「実」として写したものを、人体にひきおろして鑑賞する態度は果して正しいだろうか。「私」の美的恣意に基く鑑賞によって仏像を解しうるだろうか。信仰の上から云って冒涜であるのみならず、あらゆる点から云ってそれは虚偽ではなかろうか。造仏本来の意味に反する。現代の古美術論の多くはこの虚偽の上に成立っているように思われてならない。

正直なところ私も長いあいた金堂の本尊に親しみをもてなかった。同じ飛鳥仏でも百済観音や中宮寺の思惟像のごとく、人体に近づいてくる仏像ほど心をひかれた。しかし仏が人体に近づくということは、我々人間が仏に近づくための一機縁であって、人体に落着くためではない。この自覚が曖昧なとき、私は文学的空想に溺れて行ったようである。つまり人体の彫刻というものは、それのみでは実に甘いものにすぎず、また自分も甘え易いのである。仏像をここまでひきおろして眺める危険――要するに私はこれと戦ってきたようなもので、今でもそうである。金堂の本尊に親しみを感じえなかったのは、本尊の美的稚拙に由るのではなく、自分の信心の幼稚に基くのであることが最近漸くわかった。