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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁
「それはあまりお強い、人情知らずと申すもの……」
涙をたたえた怨みの眼に、じっとお浜は竜之助の面を見やります。
竜之助の細くて底に白い光のある眼にぶつかった時に、蒼白かった竜之助の顔にパッと一抹の血が通うと見えましたが、それも束の間で、もとの通り蒼白い色に戻ると、膝を少し進めて、
「これお浜どの、人情知らずとは近ごろ意外の御一言、物に譬うれば我等が武術の道は女の操と同じこと、たとえ親兄弟のためなりとて操を破るは女の道でござるまい。いかなる人の頼みを受くるとも、勝負を譲るは武術の道に欠けたること」
「それとても親兄弟の生命にかかわる時は……」
「その時には女の操を破ってよいか」
六
宇津木の妹を送り出したのは夕陽が御岳山の裏に落ちた時分です。しばらくして竜之助の姿を、万年橋の下、多摩川の岸の水車小屋の前で見ることができました。
「与八! 与八!」
夜は水車が廻りません、中はひっそりとして鼠の逃げる音、微かな燈火の光。
「誰だい」
まだるい返事。
「竜之助だ、ここをあけろ」
「へえ、今……」
やや狼狽の体。やがて中からガラリと戸が開かれると、面は子供のようで、形は牛のように肥った若者です。