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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
四十八
道庵先生を文字通りに叩き起して、これを別室へ突き飛ばし、突きころばして置いて、宇治山田の米友は、自分は例の杖槍を拾い取るかと見ると、裏口から躍り立って外の闇に消えてしまいました。
ここが米友の正直のところであり、道庵の信用の存するところであり、米友としては、こうして道庵をお雪ちゃんのいるところへ投げ込んで置きさえすれば、あとのところはもう一切心置きなしと信じていたのでしょう。自分が案内をして傍についていて、どうのこうのと言うよりは、道庵そのものを一かたまり抓み込んで置きさえすれば、それで病人に対しての万事は足りている。死ぬべきものでも、この人が生かしてくれる。いや、すでに死んでしまった自分をさえ、この先生は生かし返らせてくれているのだ。
そこで米友は、道庵を突き飛ばして置きさえすれば絶対信任を置き得るが故に、全く後顧の憂い無くして外の闇へと身を躍らして飛び出し得たものであります。
外の闇というのは、御承知の通り、暁の部分に属するところの胆吹の山麓でありました。
けれども、その闇であることは、前に遊魂のさまよい出でた時の光景と同じことでありましたが、黒漆の崑崙夜裡に走るということの如く、宇治山田の米友が外へ飛び出すと、外の闇が早くもこの小男を呑んで、行方のほどは全くわからなくなり