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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

「わしが呼んでもお前が来ないから、それでお前のところまで来た」

と能登守は言いわけのように言って、立去ろうともしません。

「御前様」

お君は歔欷の声で再び主人を呼びました。そうしてこころもちあちらを向いて、

「わたくしはお暇をいただきとうござりまする」

「暇をくれい?」

能登守は、さすがにお君の突然の言いぶりに驚かされたようであります。

「お前はいつまでもこの邸にいたいと言うたのではないか」

「わたくしは……わたくしはいつまでもお殿様のお傍に置いていただきとうござりまする、そのつもりで喜んでおりましたけれども、今となりましては……」

お君はこれまで言って情が迫ったように、もう言葉がつげないで、身を震わして泣いているばかりであります。

「さあ、今となってはお前が切れたくても、わしが許さぬ」

能登守の言葉にも顫えを帯びていました。

「いいえ」

とお君の返事は存外に冷やかでありました。そうして頭を左右に振ったのは、それは前のように感情が迫ったのではなく、明らかに拒否の意志を含めたものでありました。

「どうぞ、あちらへおいであそばして下さいまするように。ここは殿様のおいであそばすところではござりませぬ」