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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

「叱ッ、静かに」

「誰も見ていないから、早くその土蔵の蔭から七番の方へお廻り」

「大丈夫かえ」

「大丈夫だよ、あの裏木戸から入って」

「合点だ」

その垣根越しの笠と合羽は、がんりきの百蔵であることに紛れもありません。

二度まで見舞に行こうとして出端を折られたお角は、またしても第一番の室へ行こうとした足を引返して、七番の座敷へ舞い戻って来ました。この七番の座敷というのは、自分の部屋として借りてある座敷です。

お角がそこへ戻って来た時分に、がんりきの百蔵は、もう草鞋を脱いで縁の下へ突っ込んで、合羽を抱えてその座敷へ入り込んでいました。

「おっそろしい目に逢ったよ」

「何がどうしたの」

「昨日の夕方はお前、笹子峠の七曲りで狼に出逢して、命からがらで逃げて来たんだ」

「そうかね、お前さんかえ。今、馬方が来ての話に二人半食い殺されたというから、その半というのはどういうわけだと聞いたら、それは食われ損なって逃げた人があるんだと言っていた、それがお前さんとは気がつかなかった。何しろ命拾いをしてよかったね」

「まあよかったというものだ。大丈夫かえ、誰にも気取られるようなことはありゃしめえな」