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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

そうして、盃と御祝儀を与えて帰されることも度々ありました。茂太郎は、こんな意味において、日に日に婦人の贔負客をひきつけていました。ある種類の婦人客のうちには、何かの好奇から、茂太郎を競争する者さえ現われようという有様です。お角も、その人気を得意には思いながら、また心配にもなってきました。

両国附近のある酒問屋の後家さんが、ことに茂太郎を執心で、お角もそれがためには思案に乱れているとのことでしたが、本人の茂太郎は、いっこう平気で、自分の周囲に群がる肉の香の高い女たちには眼もくれず、清澄の山奥から連れて来たという、唯一の友達と仲睦まじく遊んでいました。

茂太郎が唯一の友というのは、長さ一丈五尺ばかりある一頭の蛇です。

順番になると茂太郎は、この蛇を連れて舞台へ現われて、芳浜の小島の美竹で作ったという笛を吹いて蛇を踊らせます。舞台から帰ると自分の楽屋に蛇を連れ込んで、食物を与えたり、芸を仕込んだりしています。夜になると枕許の箱へ入れて、藁をかぶせてやり、

「お休みなさい」

蛇の持ち上げた鎌首を撫でると、蛇は咽喉を鳴らして眠りに就くという有様であります。