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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《奇談クラブ(全)(しんきだんクラブ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,139 字 · 208 頁
最早息も絶々の我が子を掻き寄せ乍ら、右手にキリキリと脇差を引き廻します。
朝陽はすっかり昇り切って、鐘楼の上の凄惨な情景を、明る過ぎるほど明るく照しました。
× ×
「私の話はこれで終りました」
第三の話の選手、増田晋は斯う言って軽く一揖しました。
「護持院は、その翌る日の大火に焼け落ちて、七珍八宝は言うまでもなく、将軍綱吉の書いた額も烏有に帰し、その後大塚の護国寺に併せられて、形ばかり残って居ります。時の人々は、鐘楼に血を流した呪いの為ではないかと取沙汰したそうです。
桜子は無事に男の子を生み落し、その養育に一生を捧げました。何を隠しましょう、かく申す私は、その血を引く子孫の一人で、増田というのは綾吉の姓になって居ります。
高蔵人が手槍で貫いた釣鐘は、音が悪くなったのと、血潮の呪いがかかったので、間もなく鋳潰されてしまいました。武道の語り草に、これは保存して置きたかったものです」