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ぜにがたへいじとりものひかえ

奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,249 字 · 62 頁

青空文庫

金ずく、義理ずく、それでもいけないとなると、今度は腕ずくで脅かした」

三千石の裕福な殿様が、吹けば飛ぶような裏町の小間物屋に加えた圧迫の手は、残酷で執拗で悪辣を極めたものでした。

品川の女郎上がりのお滝――恥も外聞もとうの昔に摺りきらしてしまった凄い年増が軍師で、十九娘のお君が、好色の旗本の人身御供に上るまでの経緯は、平次にはよくわかるような気がするのです。

ガラッ八の話はまだ続きます。

「――一方では伊賀井の殿様の奥方――弥生の方は、御主人の気違い沙汰に取逆上て、これは本当に気が変になり、ひと間に押し込められて、体のいい座敷牢暮しをするようになった。それをまたいいことにして、いよいよ清水屋を説き落し、大枚三百両の支度金まで投げ出して、いよいよ明日の晩は、お君を伊賀井家に乗込ませると決った――昨夜になって、肝心のお君は自分の家の裏口で、植木屋の女房のお滝は、お湯の帰りをそこから一丁とも離れていない御仮屋横町の入口で、背中からひと突きにやられて死んでいるじゃありませんか。お滝なんぞいい気味だが――」

「なんという口をきくのだ」

「ヘエ、相済みません。お滝はどうせ百まで生きていたって、人様のためになる人間じゃないが、清水屋の娘のお君が可哀想でなりません。