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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《妖虫(ようちゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 頁

青空文庫

看護婦もそのあとについて、ドアの外に姿を消した。

何だか変な具合だ。この重態の病人を放って置いて、冗談らしく笑いながら出て行くとは、この医者はどうかしているのではないかしら。

ベッドの病人を見ると、やっぱり瀕死の形相物凄く、今にも絶え入り相にうめいている。

「三笠さん、苦しいですか。もう少し先生にいて頂く方がよくありませんか」

三笠探偵のしなびた顔を覗き込んで訊ねると、老人は幽に首を振って、

「イヤ、き、きみに、すこし、話したい、ことがあるので、あの、ひとだちに、座を、はずしてもらったのだ」と、息切れしながら、やっと云った。

それから、骨ばっかりの様な手を挙げて、例の窓の方を指さしながら、

「カーテンを……」

と云う。

「カーテンをしめるのですか」

ああ、やっぱりあの人影に気づいていたのだ。あの二つの目が怖いので、カーテンをしめよという意味に違いない。

守は立って行って、二つの窓のブラインドをおろし、その上にカーテンを注意深く引き合せて、元の椅子へ戻った。

「すき間のない様に、だれも覗かない様に」

病人が念を押すので、もう一度立って、どこにも隙間のないことを確めて帰った。