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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《妖虫(ようちゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 頁
「ウン、それで?」
と先を促すばかりだ。
守は、谷中の空家での隙見から、今夕までの出来事を、かいつまんで説明した。老人は何を聞いても少しも驚く様子はなく、ただ「ウン、ウン」と聞流している。実に張合のない態度だ。
「私達は妹の危険を除くことが第一の希望なのですが、犯人が逮捕されれば、これに越したことはありません。どうでしょう。この事件を引受け下さる訳には参りませんでしょうか」
守は言葉を切って、じっと相手の返事を待っていたが、老人は、やっぱりこちらをジロジロ眺めながら、何時までたっても、何とも答えない。少々気味悪くさえなって来るのだ。
「どうでしょうか、先生。枉げて御承知願いたいのですが」
「君は、それを僕に頼みたいと云うのかね」
三笠氏の声の調子が少し変った様であったが、守はそこまでは気附かず、ただ相手の質問の意味が分り兼ねて、答えに迷った。
「君に聞くがね、君は一体誰と話をしていると思っているんだね」
オヤ、変だぞ。この爺さん気でも違ったのじゃないかしら。
「無論、先生とです。先生に犯罪事件を御依頼しているのです」
「先生て、誰だね」
「三笠龍介先生です」
守は余り馬鹿馬鹿しい質問にムッとして、思わず声が高くなった。