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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁
しかしながら、単に「雪で白い山」だけなら、理解力の幼稚な小児でも言える。私どもの知識欲は、この荘厳にして視神経を刺戟する程度の強さが、容積の大から来るそれに匹敵する山岳に対して、もう少し、微細に深刻に入って見たい。
思うに、人事において流行や廃りのある如く、自然においても旧式のものと新式のものが自らある、空中飛行機に駭く心は、やがて彗星を異しむ心と同一であると云えよう。自然に対しても、近代人は近江八景や、二見ヶ浦の日の出のような、伝習に囚われた名所や風光で満足が出来ないのである。ちょうど十九世紀に著しく勃興した探検事業は、科学的研究心と合体して、未知数に向い、無人境に向った結果、山岳研究ということが、欧洲より米国に、また日本に伝わって来て、諸々の文明国は、山岳会を有するに至った。何故ならば、山岳は百般の自然現象を、ほぼ面積の大なる垂直体に収容した博物館であり、美術殿堂であるからである。就中山岳の雪は、研究の対象として最も興味のある題目である。
二
山岳は雪を被むるによって、その美しさを一層増す。朝は日を受けて柔和な桃色を潮し、昼は冴えた空に反映して、燧石のようにキラキラ晃めき、そのあまりに純白なるために、傍で見ると空線に近い大気を黒くさせて、眼を痛くすることがある。