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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁

青空文庫

「それにしては、こんな場所からじかに呼出すなんて腑におちない、貴方がたはたしかに大目付の人ですか」

「うるさいな」次高来太が云った、「いいかげんに黙らないと後悔するぞ、おれは酔興で介添に来たんじゃない、来るには来るだけの役目があるんだ、文句があるなら采女ヶ原へでもゆこうじゃないか」

「たのむよ安倍、不必要だ」主馬は二人の間へはいって、半之助を階段のほうへ押しやり、「本当に心配することはないんだ、ゆけば済むことなんだから、どうか黙って」

大きな声で云いながら、三人から離れたとみて、すばやく囁いた。

「村田に知らせて呉れ」

半之助は次高来太の(不愉快な)顔を、眉をひそめながら見ていた。

半之助は迷った。主馬は、村田に知らせろ、と云ったが、彼にとっては、主馬のことのほうが、さし当って気にかかった。

次高という男は、柳沢系の人間だ、と主馬から聞いた。現に次高自身の口ぶりでも、大目付には、正式になんの関係もないらしい。他の二人も、本当に大目付の役人であるかどうか、もしそうであったにしても、柳沢の糸を引いているに相違ないし、とすれば、どこへつれてゆかれるかわからない。