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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁

青空文庫

甲府城では、幾たびか探索を試みた。

土着民に特殊な勢力をもつような者は、そのころの政治としては放任できない。武田氏再興、などというばかげた俗信が、どんなはずみに、どんな騒ぎを起こすかも、しれないからである。だが、探索は成功しなかった。

みどう家そのものには、どう調べても不審なところはないし、住民たちからは、なに一つ、聞きだすことができなかった。ただその付近に二三の奇怪な伝説がある、甲冑武者の亡霊が、深夜に行列をする甘利谷とか。甲斐の国じゅうの狸が、年に一度集会をひらくという、狸の談合場とか。近づく者は生きて帰れないという、かんば沢とか。そばへ寄ると人でも獣でもひき込むという椹ヶ池。などである。

そのなかで「かんば沢」というのが、みどうの家となにか関係があるらしい。幾たびかの探索で、それだけは推測することができた。

そこで前後五回にわたって、かんば沢を調べようとした。現に三人そこへはいった者がある。しかし二人はそのまま行方不明になり、一人は辛うじて助け出されたが、白痴のようになっていて、まもなく狂死してしまった。

「その狂死したというのは、つい五年ばかりまえのことなんです」