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ハムレット

怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット(ハムレット)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,034 字 · 142 頁

青空文庫

とすると、四人のうちの誰かが生き残るわけになる。

弾丸は飛び出さずに、そのかわりに、教授が、鋭い声で命令した。

「縦隊をつくれ!……後ろのやつは、前のやつの肩へ両手を掛けろ」

一同は、命令に従って、縦列をつくった。先頭が、博士だった。教授はつづいて、第三の命令を発した。

「そのままで、沼の方へ後退!」

一同は、後退りに一歩ずつ沼の方へ退りはじめた。

何という緻密な頭脳。教授は、殺戮に対する自分の側の不備をちゃんと知っていた。ところで、漁夫のほうも教授がこれから何をしようとしているのか、すぐ察してしまった。弾丸が一発足りないので、五人を泥洲の中へ沈めて殺そうとしているのだ。

留吉という若い漁場見習を引きずって、自分からコリマの泥洲へ沈んでしまった不幸な仲間のことが思い出された。あいつのほうが、俺たちより利巧だった。亀井が、

「ふふん」

と、笑った。その心がすぐ、みなに通じた。後退りをしながら、他の三人もクスクスと笑い出した。

第三の命令が来た。

「止れ! ……ヤロスラフスキー博士、あなただけ一人でこっちへやって来てください」

博士は、列から離れて、一種毅然たるようすで教授のほうへ歩いて行った。