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ハムレット
怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット(ハムレット)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,034 字 · 142 頁
四、地獄の入口
がぶッと、自分から泥のなかへ顔を入れ、それっきり、見えなくなってしまった。
六人が河の岸で、腑抜けのような顔で、ぼんやりと眺めていた。誰一人、ものをいうものもなかった。
モローゾフが、ナターシャに囁いた。
「つまり、動物的敏感というやつですね。私も、あの跣は置いて行くつもりだった」
そういって、革外套のポケットから、拳銃を取り出すと、
「あまり、ぞっとしない役割ですね」
やりきれないといった顔で、ちょっと、ナターシャに微笑んで見せ、それから、監視人のいる小屋のほうへ、大股に歩いて行った。
四、地獄の入口
山の頂には、強い風が吹いていた。一列になって、火口の外輪を廻り込む。
三千万年の前に死滅してしまったこの火山は、どの岩もみな古めかしく、縄状熔岩がいたるところで縄のように捩れあい、黒や鉄色や、赤味がかった岩が、垂直に無限の闇黒のなかへ逆落しになっていた。瘴気のような薄い霧。死んだ岩と熔岩。この永遠の沈黙のなかで、一羽の黒鷹が、ゆるゆると輪をかきながら飛んでいた。まるで、地獄のような景色だった。
山の上には、十二人のひとがいた。沈着な面だましいをした篁栄二郎以下六人の漁師たち。