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ハムレット
怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット(ハムレット)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,034 字 · 142 頁
けだものにしてはできすぎている」
ナターシャは、教授のいい方に軽い反感を感じながら、
「そうね」と、答えた。
この地底旅行には、もし成功したら、また六人でそろって戻って来て、委細の報告をするという条件がつけられていた。提議したのは、いうまでもなく、モローゾフ教授である。
ナターシャが、訊ねた。
「全部そろって戻って来いというのは、どういう意味なのですか。半分ぐらいだってかまわないわけでしょう」
「いや、全部でなくてはいけない」
「ですから、なぜ?」
モローゾフ教授が、こたえた。
「全部殺してしまわなくては」
ナターシャは、チラとモローゾフ教授の顔を見上げた。そして、急いで眼を伏せた。何か鋭いものが、チクリと心を刺した。……
最後の煙草を喫いおわると、漁夫たちはいっせいに立ち上った。太いロープが截り立った削岩壁の肌にそって、混沌と黒い口をあけている火口底のほうへ垂らされた。
最初は、北原省三という、片目の若い漁夫だった。
「したば、さいなら」
かくべつ身構えをするでもなく、身軽にロープに取りつくと、岩壁に足を突っ張りながら、だんだん下のほうへ降りて行った。その身体は、まもなく、張り出した熔岩の瘤の下へ見えなくなってしまった。