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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁

青空文庫

然し、連続的に襲って来る悪夢は、京子の激しい愛撫を俟つまでもなく、独りでに、彼の頭の中で麻痺して来た。

恐ろしいことだ。源吉は、この惨澹たる轢殺の戦慄に、不感症となって来たのだ。

彼は、人を轢き殺した瞬間にさえ、何処か、事務的な、安易な気持を持ち始めたのだ。

源吉は、最初の(気が狂って仕舞ったのか)とも思えた、興奮の自分が、莫迦莫迦しく、ウソのように感じられた。

(どうせ、魔のカーヴだ。死にたい奴は死ね、俺は、介錯してやるようなもんだ)

棄て鉢の呟きだった。だが、これは今の彼の本心だったろう。

(柵なんか造ったって駄目さ、死のうという奴は盲目だ、俺の所為じゃねェや)

そうした、自己偽瞞の囁きもあった。

又、それに拍車を加えるように、一ヶ月に一遍、多い時は二遍位までの、死を急ぐ者が、不思議に絶えなかった。

(これじゃ、俺の前にいた奴も、勤まらねェ訳だ)

源吉も、独りで苦笑いを漏らすことがあった。然し、それは、苦笑いというには、余りに恐ろしいことではなかったか……。

如何にもその、軽い苦笑は、源吉の轢殺鬼という資格の表徴であった。

源吉は、近頃、列車を運転しながらも、ひょいと気が抜けたような、気持に襲われるのだ。