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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁
さよなら」ともいわずに、すたすたと暗の中に消えてしまった。別れてから気がついたのだが、さっきの騒ぎで落してしまったものか、その山鹿のうしろ姿は、釣竿をかついでいなかった。
五
鷺太郎は、サナトリウムの通用口から這入って、医局の廊下を通ろうとすると、こんな夜更けだというのに、まだ電燈があかあかと点けられ、何か話しごえがしていた。
(何かあったのかな――)
と思いながら、通りすぎようとすると、後から、
『白藤君――』
と呼止められた。振返ると、そこには院長沢村氏の息、学友の沢村春生が、にこにこ笑いながら立っていた。
『や、しばらく、どうしたい』
『どうした、じゃないよ。病人がこの夜更けにどこを迂路ついてんだ、困るね――』
『はっははは、ここは居心地がいいから居てやるんだ、僕はもう病人じゃないぞ――』
『それがいかんのさ。治ったと思って遊びすぎると、直ぐぶりかえす――、殊に夜遊びなんか穏かでないぞ』
『冗、冗談いうなよ、変に気を廻すなんて、君こそ穏かでないよ』
『ははは、まあ、入りたまえ、僕も休暇をとったんで、見舞いがてら来たんだ、東京は熱気で沸騰してるよ』