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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
線上閱讀吉野 作造《憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず(けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 頁
けだし憲法政治創始当時における民選議院は、多くの国においてその構成は頗る平民的ではなかった。殊に欧洲諸国においては、民衆の勢力に迫られて憲法の制定発布を見たのではあるけれども、歴史的特権階級の惰力もまた陰然として一大潜勢力を有し、憲法は則ちこの二大勢力の妥協の結果として発生したのであるから、議会構成の上にも反動的勢力は多大の利便を留め、もしくは少なくとも彼らはここに民本主義の十分なる発現を妨ぐることを得た。即ち制限選挙制度の如き、一面においてたしかに特権階級の民衆的勢力に対する一防波堤である。これあるがために民本主義の要求は議会において十分にこれを貫徹することを得ないのである。選挙権に対する制限の、憲法創設当時いかに高かったかは、仏蘭西の憲法史に明白である。革命後の第一の憲法(一七九一年)は、財産的制限としては、僅かに三日間の労働に均しきだけの直接税を納むるものという極めて軽微なる制限に止めたけれども、一面においては間接選挙であった。第二の憲法(一七九三年)は初めて普通選挙で且つ直接主義を認めたけれども、これは実行せられなかったのみならず、その普通選挙主義を採ったのも、天賦人権の空論に基づいたものであって、社会の現実なる要求に根柢したものではなかった。