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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
線上閱讀吉野 作造《憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず(けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 頁
公事に関する興味も著しく民間に強くなった。非常に野蛮な国でない限り、民智の不十分を理由としてこれを政治圏外に打捨ておくという事は、今日はもはや時勢の許さざるところであると信ずる。
且つ今日の民本主義は、人民智見の相当の発達を前提とすというも、しかしそのいわゆる相当の発達なるものは、各種の政治問題について積極的の意見を立て得る程の高い発達を意味するものではない。例えばここに海軍拡張問題とか減債基金問題とかがある。海軍拡張の可否並びに程度如何とか、八四艦隊〔戦艦八隻、巡洋戦艦四隻を根幹とし、これに補助艦艇を付属させた艦隊。八八艦隊などともいう〕の利害得失如何とか、また減債基金を五千万円に復旧するの利害得失如何とか、二千万円の鉄道資金はこれをいかにして得べきか等の細かい点は、専門の政客といえども精密にこれを了解して居るとは思われない。今日の代議士中、この問題の意味をすら理解しておらぬものは少なからずあるだろうと思う。いわんや一般人民に向っては、これらの問題の精密なる了解はよほど進んだ国においてもこれを求め難いと思う。民本主義の行わるる事は、それ程高い智見を民衆に求むるという必要はない。