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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁

青空文庫

そして堀と私とが話をしていても何も言わずに、邪魔をしないで一人遊びするように、娘なぞと遊んでいた。

そんな日の帰りには堀の買い物を持ってやり、一緒に追分村に夕方には連れ立って帰って行った。絶対に堀を好いていた彼は、堀辰雄のまわりを生涯をこめてうろうろと、うろ付くことに心の張りを感じていたらしかった。そこに津村信夫が東京から来合わせたりすると、彼はますます機嫌好くなって、津村を誘って町に出て行って永い間帰らなかった。

私もつい気になり堀と一しょに町まで出かけて、テニスコートの周囲や喫茶店や賑かな横丁なぞを捜して歩くことがあった。捜している間は決して見付からないこの二人は、突然、町の下手の方から登って来たりして、にこにこして落ちあい、喫茶店にもはいらずにただぶら付くだけで、暑い日の下を愉しく歩いた。

異様ともいえるこの四人づれは結局、私の家にもどるのがせいぜいだったが、話もせずただむやみに機嫌好くぶらつくことが、心を晴れやかにする重要な要因であった。しかもこの若い三人の友達はさっさと先きに死んでしまい、私は一人でこつこつ毎日書き、毎日くたびれて友を思うことも、まれであった。