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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

御政道に悪いことは、悪いと申しあげた方が、御奉公の誠意だからな」

配下の者が、すべて好ましくない顔いろなので、奉行も急に考えが変った。

森三左衛門可成は、山城守道三の息女が信長へ嫁した折、内室付として、斎藤家から来た臣で、織田家に仕えてから後も、度々、軍功のあった重臣のひとりである。

で、勿論、奥向もいい。信長のあの性格へ、そう開き直りもせず、やんわりと諫めるには、彼に限る――

「だが、居るか居ないか?」

と、役人のひとりが、表方へ問い合わせてみると、折ふしちょうど登城していて、北の丸へ伺い、何か御内室へお眼通り中だとある。

で――退出を待ち構えているとやがて森可成は、まだ、六、七歳にしかならない髫髪の童の手をひきながら、拝領のお菓子を片手に持って、退って来た。

城下奉行と、添役らは、呼びとめて、一室に迎え、

「実は」

と、憂いをこめて、祭布令の件を相談してみた。

「ごもっともな意見」

可成も、同意を洩らした。

先頃、津島祭の折も、信長が微行で、踊りに出かけたということを、堀田道空から後で聞き、

(滅相もないお振舞)

と、胆を冷やしたことであったし――その後も祭々と日吉祭を待ちわびている口吻も、よく信長から出るので、同憂の君側は、わざとその度に苦りきっているところなのである。