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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
そこの築土裏から少し行くと、安倍河原へ出る。
元康がまだ家来の背に負われて歩いた竹千代の幼少から、外へ遊びにといえば、この河原へ来たものであった。悠久と流れている水のすがたにも変りはないし、眺めもいつも同じ河原だったが、元康には、何かと思い出が深かった。
「甚七。その小舟を解け」
元康は、指さして、汀からすぐそれへ乗った。
釣舟か、簗舟であろう。甚七が棹で突くと、笹の葉のように、小舟は瀬から流れへ出た。
「この辺でよい」
主従は、小舟の中で、初めて人眼から解かれたここちで、語らい合った。
元康は、甚七が多年、諸国を経巡って得た知識を、わずか一舟の席で半刻の間に得てしまった。
そして甚七が習得して来たものよりは、遥か、大きなものを、胸奥へ収蔵した。
「そうか。……ここ数年、織田家が信秀の代とちごうて、余り他国へ侵攻して出ぬのは、専ら、内治を整えておったためだの」
「二心ある者は、系類であると、譜代の臣であるとを問わず、思いきって、討つ者は討ち、追う者は追い、ほとんど清洲から清掃されたようでありまする」
「その信長を、一頃は、稀なわがままものよ、阿呆の殿よと、今川家などにおいても、よう笑いばなしに取沙汰があったが」