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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
我慢。
三河武士の背ぼねは、我慢の鍛錬で組み上がっていた。君臣ともに、生涯を辛抱から出発していた。
三河武士の辛抱強い実証は、元康の初陣の折にもあらわれていた。
去年。
元康は十七歳で、初めて陣頭に立った。
毎々、三河を脅やかしている鈴木日向守の寺部の城を攻めた時である。
勿論、今川義元のゆるしを得た上のことであるが、その時は、義元から暇をもらって、彼が三州へ帰国していた折なので、全軍の組織も、将兵の質も、すべて純粋な三河勢をもって戦ったのであった。
元康は、譜代の古老や家の子郎党をひきいて、初めて敵地へ進撃したのであるが、敵の寺部の城下まで攻め入ると、
(この度は、城下を焼き払って、ひとまず退軍し、また機をみて、軍をすすめるであろう)
と、所々へ放火したのみで、にわかに三河へ退いてしまった。
初陣とあれば、誰しも、華々しい功名を心がけて、世上の聞えにも衒気を抱くのが青年の常なのに――何となされたことかと、後に訊ねる者があった。すると元康は、
(寺部は敵の幹である。多くの枝葉を持っておる。その本城まで難なく攻め入られたのは、敵に思慮があったからである。