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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

――わが軍の行くをさえぎる者は伐たん。

――わが軍の行くを迎えて礼する者は麾下に加えて遇せん。

と、いうのである。簡単で明確な宣言だ。

しかし、一面から見れば、いかに義元以下の今川家の宗族たちが、天下を人もなげに観ているかがわかる。

陣日誌によれば。

出兵の令は、五月一日に発しられ、今川与党の各領内の諸城へも各部門の将士へも、同時に、出陣令が下った。

端午をすまして、五月の十二日に、義元の本陣は、嫡子の氏真を留守居として府中に残し、沿道の領民が歓呼して見送る中を、歩武堂々、天日の光を奪うばかりな華麗豪壮な武者、馬印、大旆、旗さし物、武器、馬具など絢爛な絵巻をくりひろげて、上洛の途にのぼった。

兵員の実数は、約二万五、六千人と見られたが、称して、四万の大軍とわざと触れて行った。

それより二日前。

前衛軍の先鋒は、十五日に池鯉鮒の宿にはいり、十七日には、鳴海方面に近づいて、織田領の諸村へ、放火していた。

天候は、毎日、暑いくらいな晴天つづきで、麦畑の畝も豆の花のさいている土も白っぽく乾いていた。

その青空へ。

あちこちの部落の焼ける黒けむりがのぼっていた。