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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
彼はまた、幾たびか足を運んで三好長慶の執達を通して、十三代の義輝将軍に会った。
勿論、三好家の館までは、いつものような東国侍の微行すがたで、そこで式服に改め、室町の柳営へ出向いたので、まったく誰も知らぬ会見であった。
室町の柳営は、絢爛な廃墟に似ていた。足利十三代の間になし尽した将軍たちの逸楽と豪奢と、独善的な政の跡を物語る夢の古池でしかなかった。
義輝将軍は、信長を見て、
「お許か、信秀どのの子息信長とは」
と、いった。
力のない声である。
型の如く、近習や作法張った儀式はあるが、精彩がなかった。将軍職の名はあっても、ここに実際の力がないことが、すぐ感じられた。
「信長です」
平伏して、お見知りおきください、と彼はいった。平伏している彼の小さい姿のほうが、遥かに四辺を払い、上段の人を圧し、声に力があった。
「父信秀を、御存じでござりましたか」
義輝将軍は、
「存じおる」
と、うなずいて、信長の父信秀を知った縁故について、記憶を語った。
それは、かつて、皇居の荒廃のあまりの甚だしさに、諸国の豪族に対して、朝廷の御名をもって、
内裏御修理之料献上之諭達
が発せられたことがあった。