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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

木下七郎兵衛が祖先は、平相国の孫維盛より出で、杉原伯耆守が十代の末孫、血すじも正しい者にござります」

親ごころは、つつんでもつつみきれない歓びをすぐ現わして、縷述するのであった。

因幡守は、うなずいて、

「血すじもさることながら、何よりは心ばえのよい娘じゃそうな。よく噂を聞く」

「おそれいりまする」

「――では、どうしても家名はつがせねばならぬの」

「御意にござりまする」

「その聟を、因幡が世話いたそうと思うが、どうじゃな」

「……は」

又右衛門は、身を折るように、額をつけた。何か、ためらいがあった。この問題にさし迫ると、今なお、考え出されたり処置に迷うものがあったからである。

因幡守は、そのためらいも眼にないように、独りのみこみ顔していった。

「よい聟がひとりある。わしにまかせい。悪いようには取り計らわぬが」

「勿体ない。冥加なおことば添え、帰宅のうえ篤と家内どもにも、ありがたい御意をつたえまして」

「相談するがよい。儂が世話しようという聟どのは、ふしぎや寧子が生家とも同苗の木下藤吉郎。そちもよう見知ってる男じゃが」

「えッ……」

又右衛門は、思わずそういってしまった。