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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
――なぜならば、左馬介はまだ本心から織田家へ復帰もしていなければ、服従する心もないからであった。
その右近が、折よく、城壁の普請奉行を命じられたので、左馬介は、年来窺っていた時機到来とばかり、早速、駿府の今川家へ向って先頃から密使を送って、
(織田家を討って、尾張一円を御司権の下へ収めるのは今こそでござる。奇兵五千ほどをもって、東部の国境から一途に清洲へお攻めあらば、自分は鳴海大高の兵を挙げて熱田口から攻め入りましょう。――同時に愚息右近は、清洲の城内にあって、内部から攪乱し、火の手をあげて、寄手に便宜を与えることに相成っておりますれば――)
という意味をもって、今川義元の勇断を促したのである。
だが今川家では、彼の催促にもかかわらず、遽かにうごかなかった。山淵父子は何といっても織田家の古参である。策であるやも測り難い――と、多分に疑惑していたからであった。
第一の密使も、第二の使いも、梨のつぶてなので、左馬介は、おとといも、追っかけに三度目の使いを駿府へやって、
(今を措いては)
と、急を促していた折も折なのである。
右近が斬られて唯ひとり逃げ帰って来た。