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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

陣中の一花

「オオ、武蔵守か。――臥せっておると聞いたが、負傷は、どうじゃ」

「きょうから、起き出ることに、きめました」

「無茶をするなよ。体さえなおせば、いつでも、汚名はとりかえせる」

汚名――といわれたので、多感多血な長可は、ぽろりと、涙をこぼした。

陣羽織の襟うらから、かれは一書をとり出して、うやうやしく秀吉の手へ渡し、また平伏して云った。

「御帰陣の後、御一読を得ますれば、ありがたい倖せにぞんじまする」

心根を、不愍と察したか、秀吉は、うなずいて、

「よしよし、読んでやる。――くれぐれも、大事にいたせよ」

いいすてて、城門を出た。

陣中の一花

青鷺組の三蔵は、犬山から四里ほどの地、大留の城主、森川権右衛門のところへ、池田勝入の密書をもって、使いに行っていた。

青鷺組というのは、池田家の秘密隊――つまり隠密組の異名である。

三蔵は、犬山攻めの前にも、一役たてて、その賞として、池田勢の犬山入りと同時に、金ももらい、お暇ももらい、かれの夢が、実行できるつもりだったが、

(戦は、これからだ)

との理由で、褒美の金は、ふんだんに拝領したが、軍を抜けることは、ゆるされなかった。