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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁
仏ヶ根山も、前山も、それと同時に、迅雷のとどろきを発し、雲を吐くように、弾けむりを、白くひいた。
その硝煙が、うすい狭霧のようになって、低地の池、田の面、蘆の湿り地などへ降りてゆく下に――早くも、井伊の赤武者が、走っていた。それと先駆を争う黒具足の群れや、雑多な軽兵も――たちまち近づき、距離をつめあって、槍隊と槍隊との、接戦になった。
およそ、武者合戦の、壮絶さは、槍と槍とのたたかいに尽きる。
また、これによって、くずれ立つか、押しきるか、大勢の勝負もわかれる。
井伊隊はここで二、三百の敵を仆した。もちろん、赤武者たちも、無傷ではない。直政の身内の惜しい者も何人となく、討死した。
池田勝入は、さっきから、一作戦を案じていた。
田ノ尻にあるわが子紀伊守と輝政の軍勢が、井伊の赤備えと接戦して、ようやくそこの戦況が激化してゆくのを見て、
「清兵衛、機会だぞ」
と、うしろへ、声を放った。
前もって、約二百の決死組が、槍をそろえて、待機していた。行けっ――と清兵衛からいわれるや否やその一組は、長久手村の方へ降りて行った。
勝入の戦法は、こんなときにも、奇手をえらぶ、奇道をこのむ。